七転び七起き
人生 ゆるーり がんばるくらいで ちょうどいいっしょ
276,049の無念!「口蹄疫支援作業体験記」 ?前編
宮崎県で7日間の口蹄疫支援作業をなんとか終え、今日無事に帰って参りました
今日の新聞にも載っていましたが、口蹄疫の疑似患畜199,293頭全ての埋却が、昨日で完了しました
しかし、今後もワクチン接種対象の76,756頭のうち、約3万頭の殺処分が続けられます

とっちんが今日の記事は用意してないよ、というので
携帯に書きためていた文章を急遽、編集してあっぷします
現地で見たこと、感じたことを極力そのまま記載します
今日、明日と長くなりますが、興味ある方は読んでやってくださいm(_ _)m

☆?☆?☆?☆?☆?☆?☆?☆?☆?☆?☆?☆?☆?☆?☆?☆?☆?☆?☆?☆?☆?☆?☆?☆?☆

作業初日、朝5時30分のアラームを聞くことなく目覚める。
宮崎市内は天気予報どおり、朝からシトシトと降り続いている。

朝食のバイキングに向かう途中、この日の作業分担表が「県対策本部」から送付されてきているので
フロントで自分の名前と作業内容を確認する。
初日の現場は殺処分班、肉用牛繁殖41頭の個人農場である。
憂鬱な気分と不安がよぎる。

ホテルから川南町役場に向かう移動時に着る専用作業着と持参したボロのサンダルをはいて、朝7時に大型バスでホテルを出発。乗員は25名くらいだろうか。
宮崎市内は通勤ラッシュ時よりは、少し早い時間のいつもの光景だろう。
車や人通りはまだ少ない。

しかし、すぐにこの地域がただ事ではないことに気付かされる。
川南町役場に行くまでの国道10号線では、一般車両も含めた消毒ポイントが3ヶ所、
大型トラックやバス等の自主消毒ポイントが宮崎市佐土原、新富町入口、高鍋町入口の国道脇に3ヶ所、設けられている。
当然、我々を運ぶ宮交のバスは、行きも帰りもこの自主ポイントを通過しなければならず、そのたびに白い消毒液を車両全体に浴びせられる。
消毒ポイントは川南町役場の入口も入れたら全部で7ヶ所だ。

全車両消毒による国道10号線の渋滞は相当なものだ、特に一ツ瀬川を越えるのが一苦労。
移動時間に、2時間近くを要したことが度々あった。
このようなポイントでは各県警が応援に来ているようで、私が通った期間は、愛知県警の警察官が立っていた。

ところで私にとっては、途中の風景がとても懐かしい。
目に映る風景が、17、18年前とあまり変わっていないのだ。
現地調査のため、よくこの道を通り、都城市から川南町に向かったものである。
「ここで牡蠣を売ってたんだよね」、「あっ、よく泊まったビジネスホテルはまだやってる」、
「小丸茶屋のうどんも新茶屋となってまだ営業してるんだ」
と一人でつぶやいていた。
しかし、こんな形で再訪することになるとは・・・

バスはいよいよ川南町の街中へ。
コンビニ、ガソリンスタンド、道ゆく人々、いつもの平日朝の営みがそこにあると感じた。

現実に引き戻されるのは、川南町役場内の物々しさだ。
自衛隊の災害派遣車両が十数台、所狭しと並んでいる。
中には、埋却場を掘削するためのバックホーを積んだトラックも数台あった。

川南町役場は、「現地対策本部」が設置されている。
ここでは動線がしっかり決められており、建物内への通常の入口と現地作業帰りの際の入口が分けられている。
作業現場から戻ったときは、当然ながら万全な消毒後でないと入館できない。

建物内に入ると、まずは作業初日の人間は全員、血圧測定を行わなければならない。
普段は、上で110台なのにこの日は130台まで上がっていた。
やはり、少し興奮と緊張があるということか。
150を越える場合は殺処分班から外され、現地対策本部での作業を補助することになる。

そして着替え。
下着の上に白い防護服二枚を重ね着し、胸と背中に所属と氏名をマジックで表記する。
全員が集まったところで対策室から、現状と全体的な今日の作業の説明があり、県全体で700人位が口蹄疫防疫作業に携わっているとのことであった。

その後、農場へ向かう専用のサンダルに履き替え各班毎にマイクロバスに乗り込む。
入る時には気付かなかったが、役場の出口正面には
「毎日の作業に感謝しております。体に気をつけてガンバッテ下さい。よろしくお願いします。」
の垂れ幕が下がっていた。
また、役場を出たところで、歩道に立っているおばあさんがお辞儀をしていた。
最初は運転手と知り合いなのかなと思ったのだが、バスに向かって何度も頭を下げていた。
たぶん、垂れ幕と同じで、我々によろしくお願いします、という意を込めたものであろう。

現地農場に到着するが、朝から降り続く小雨のため、埋却場の掘削が遅れているということでテントの中で少し待機。
テントの中には農場主が差し入れてくれたという飲み物が詰まったクーラーボックスも準備されていた。
ここで、資材班が現地に届けている用具を確認し、最後の装備を行う。
薄いゴム手袋を下の防護服の袖の上まで被せてガムテープで密閉、その上に軍手、厚手のゴム手袋をつける。
厚手のゴム手袋の上からテープで密閉すると弁当を汚い手袋のまま食べることになるので、要注意なのだ。
口にはマスク、目にはゴーグルを装着。
足は長靴、履き方は、下の防護服を長靴の内側に押し込み、上の防護服を長靴の外側に出し、ガムテープで密閉する。
伝えることはなかなか難しいが、口蹄疫ウィルスに対する装備としては考えられる限りのことはやっているのではないだろうか。

30分程して、県の作業リーダーから作業開始の合図が出た。
農場主の多くがそうであるように、作業が始まる前に年輩のご夫婦が外出された。
これまで面倒を見てきた可愛い家族が殺処分される姿や声を見聞きすることはどんなに耐え難いことか。

数名の保定係が適当な流さにロープを切り、輪っかを作り初めた。
指示された最初の作業は、柵に固定されている牛の鼻環に先程のロープを取り付けること。
牛は何か変だと感じるのか、知らない人間に触られまいとほとんど動けない首を激しく上下左右に振ろうとする。
「ごめんな、ごめんな」と言いながら、作業を続ける。

保定係は取り付けたロープで牛を誘導し、庭先の柵に保定(頭が動かないようにロープで固定)している。
子牛も数頭繋がれている。

我々、一般作業係が指示された次の作業は、主の連れ出された牛小屋の掃除である。
小屋にはそれほど糞等は貯まっておらず、日頃からよく掃除されていたことが伺える。
床や壁を角スコップであらかた掃除した後、外の作業を見るとそこには既に十頭位の牛が横たわっていた。
ついさっきまで生きていたものが、黒い眼を見開いたまま、大きな黒い物体に変わっていた。

後で獣医に聞いたり、獣医のサポートを体験したことで分かった事は、まず鎮静剤を打ち、意識が朦朧としたところでパコマという消毒液を頸動脈に注射する。
この消毒液は普通のものとは違い、赤血球など血中成分が溶解し、酸欠で死に至るとのこと。

消毒液を打った2?3分後には震えだし、巨体がゆっくりと崩れ落ちる。
麻酔をしているためか、鳴き声を上げる牛は一頭もいない。
庭先に倒れた黒い物体は、トラクターショベルでトラックに積み込み消毒後、埋却場に運ばれる。
今はこれをやることが仕事と割り切っているつもりであるが、ショッキングな光景に頭が整理できない。

農場の外には出られないため、死体の積み込み作業の真横で昼食の弁当を食べなければならない。
普通に食べられるはずがない。
午後の作業のことを考えて、半分くらいを強引に胃の中に押し込むのがやっとだった。

午後の作業は、清掃作業の終わった小屋の消毒と石灰散布である。
畜舎内での作業は、湿度が高いうえに汗と熱気で眼鏡、ゴーグルとも曇ってしまう。
この一連の作業は日頃、机に向かう仕事が主な一般作業係にはきつい。
これで終わったかと思いきや、大量のおが屑の山を廃棄する指示が追加。
中腰の姿勢がさらに老体にはこたえる。

最後の牛を積み込む際には、シートの中に農場主が用意したであろう花束を一緒に包みこんだ。
初日の作業が全て終わったのは午後5時過ぎくらいであったろうか。

雨は最後まで降り止まず、牛達の無念を象徴するかのような涙雨となった。
全身を消毒した後、作業で着用したものはパンツまでその場で廃棄し、一緒に埋却することになる。
下着やタオルが不足するのはそのためだ。

現地での着替えは、新しい下着と防護服を一枚のみ着る。
全員の着替えが終わったところで、殺処分された家畜へ黙祷。

これをもって、殺処分班としての、一日の全ての作業行程は完了する。
後日、各農場で余った資材や機械を資材班が回収する。

迎えのバスで川南町役場の「現地対策本部」へ戻り、サンダルと足元の消毒、イソジンによる手洗いとうがい、眼鏡の消毒を行い、移動専用の服に着替え、夜の弁当を頂き、1時間半以上かけてホテルへ戻り、一連の流れが終わる。

ようやく、1日目が終わった。これで7日間も連続した作業ができるのだろうか。
身体の疲れもさることながら、やはり殺処分を目の当たりにしたやりきれない気分が、更に疲れを助長させる。
部屋に戻ると、すぐに全身をよく洗い、ビールを一本頂く、これが数少ない楽しみの一つとなった。

さて、今日も早く寝ることにしよう。



いいなぁ、って方はポチッしてね^^
人気ブログランキングへ

いいよぉ、って方はポチッしてね^^
 




スポンサーサイト

テーマ:宮崎 - ジャンル:地域情報

コメント
らぼっちさん、お疲れ様でした。
お疲れ様、なんていうことばでは表現できないけど。

涙がじわぁ~っと出てきました。

現地のひとたち、作業に携わったひとたち。

そして、犠牲となった牛に豚。

これ以上の犠牲がでませんように。
2010/06/25(金) 23:29:59 | URL | くろさん | [ 編集 ]
会社で
宮崎県の仲間の為に義捐金をするようになりました
会社は主婦がほとんどなのですが
お隣の県だというのに
全然よくわかってない方もいてちょっと悲しくなりました

本当にらぼっちさんはじめ皆さんの努力が結果となって現れますように
2010/06/25(金) 23:54:03 | URL | KIKO | [ 編集 ]
ありがとうございます
私は新富町出身のものです。
おじの牛50頭がワクチン接種、殺処分の日を待っている状態です。

ほんとうに宮崎のためにありがとうございました。

油断はできないにしろここ数日の状況からは沈静化に向かいつつあると思われます。

ですが患畜、擬似患畜の殺処分のあとには
ワクチン接種した家畜の処分が残っています。

それを待っている農家、そして作業にあたってくださる皆様の苦悩はまだ終わるわけではありません。

このように現場で作業された方の声は、
本当に貴重ですし、
まだ口蹄疫との戦いは終わっていないということを、
私自身、発信を続けていかなければならないと思っています。

本当に作業にあたってくださり、
そしてこのように発信してくださり、
ありがとうございましたm(__)m
2010/06/26(土) 13:56:33 | URL | こず | [ 編集 ]
お帰りなさい
 実際に支援作業に参加した人にしか分からない
体験をなさって、心身ともにさぞお疲れでしょう。
まずは休養専一に体の疲れだけでも癒されますように。

 マスコミはW杯サッカーや力士の野球賭博に大騒ぎして、
早くも口蹄疫を忘れているようですが、
口蹄疫は過去ではなく、現在と未来の問題だと改めて思いました。
2010/06/26(土) 13:59:00 | URL | 沢太郎 | [ 編集 ]
おかえりなさい。
大変な7日間でしたね。
きっとらぼっちさん自身が思っている以上に
心身ともに疲れていらっしゃると思いますので、
ゆっくり、しっかりと休養を取られてくださいね。

記事、しっかりと読ませていただきます。

口蹄疫、1日も早く終息に向かい、尚且つ
今後このようなことが起こらないことを祈るばかりです。
2010/06/26(土) 14:27:36 | URL | mam | [ 編集 ]
お疲れさまでした
はじめまして。
記事を読み涙が出てしまいました。

私は球磨郡出身の熊本市内在住ですが、妹が球磨郡の酪農家に嫁いでいます。
移動制限などで、収入も激減し、自分たちの給料を従業員の給料にあてたそうです。
身近な妹家族の現状を見ていても、とても大変なのに何もしてあげることができない自分が情けなく思います。

宮崎の口蹄疫が早く終息することを祈るばかりです。

今回は大変お疲れさまでした。
亡くなった尊い命に合掌します。
2010/06/26(土) 15:04:52 | URL | ぴぽ | [ 編集 ]
くろさんへ
いいえ、お疲れ様の一言がどれ程嬉しいことか
どこまで書くか悩みましたが、くろさんのフィルターをかけないでほしい
という言葉と飾るほどの文章力もないので、そのままを伝える形になりました

これ以上、犠牲が増えないことを祈るのみです
2010/06/26(土) 17:54:06 | URL | らぼっち | [ 編集 ]
KIKOさんへ
全国からの義捐金が、確か11億を超えた記事を現地に行く前に読みました
現地への応援メッセージなど、日本もまだまだ捨てたものではありません^^

そういえば、川南町内でも何をしているのと作業中に尋ねられたことがあると聞きました、びっくりですよね

このまま、本当に落ち着いて欲しいものです
2010/06/26(土) 18:12:37 | URL | らぼっち | [ 編集 ]
こずさんへ
コメありがとうございます
そうですか、おじさんが新富町で畜産を営まれているんですか
先週末から、主力は新富町に投入され、川南町では相当減っていました

私も新聞の報道で、感畜・疑似感畜の処分が終わったということが先に来て、ワクチン接種がまだ残されていることが置き忘れられているのではないかと気になっていました
農家の苦悩はまだまだ続いているんですよね

現地で何が起こっているのか、少しでも真実を伝えるお役に立てたならば嬉しいことです
でも、もう殺という文字は使いたくないですね
2010/06/26(土) 18:23:37 | URL | らぼっち | [ 編集 ]
沢太郎さんへ
無事戻って参りました^^
ご心配いただき、ありがとうございます

作業量としては、沢太郎さんの日頃の農作業の何分の一かと思います
毎日、だんだんと身体が重くなっていき、行き帰りのバスの中では皆さん、眠ってばかりでした

万が一を考えて、1週間は外出できないことになっています
記事のネタが尽きているのに^^

そうですね、まだまだ油断できない状況は変わっていないと思います
2010/06/26(土) 19:39:55 | URL | らぼっち | [ 編集 ]
mamさんへ
帰ってからの、とっちんの第1声が何、その真っ黒な顔?でした^^
雨や曇りが多かったので、そんなに日焼けするはずはないと思っていたので自分でもびっくりです
このような作業がもし真夏も続いたら、作業する人達の身体が本当に持たないですね

とっちんの手作り料理で、徐々に体重を戻していかねば^^
2010/06/26(土) 19:48:24 | URL | らぼっち | [ 編集 ]
ぴぽさんへ
お初です、コメありがとうございました
そうなんですね、殺処分される当地域だけではなく
周辺地域にも大きな経済的影響が出るんですよね

うちもとっちんの実家が山口で牛を飼っているので、本当に早く終息宣言が出ることを祈るのみです

この悲惨な現実を知ることが、しなければならない、そして出来る第1歩ですよ^^
そして、現地を見てきたらぼっちが出来るのが、それをありのまま伝えることです
辛いですが、後編も読んでみて下さい
2010/06/26(土) 20:01:09 | URL | らぼっち | [ 編集 ]



URL

 
PASS
SECRET

トラックバック
Copyright @ TYPE=B / melthelm All Right Reserved. Powered by FC2 Blog